ムッチーのペイント体然(in twitter)

by ムッチー

この記事は140文字という字数制限のあるtwitterで展開したペイント論をまとめたものです。

初心の友や行き詰まりを感じてる趣味人仲間に、口伝や体得、ホビーセンターで教えてもらえるような成文化されてないシタデルカラーの癖や
ペイントのコツを文章にしてステップアップの助けになりたいと思い、不遜ながらもはじめる。
タイトルは大全をモジりつつ体感と泰然を混ぜた造語です。
【ベタ塗り1】
塗りたい色で一色に塗るのがベタ塗り。初歩のようだが凄く大事。
初心者にありがちなのが下地が透けてしまうのを恐れカラーを濃いまま塗り塗膜が
厚ぼったくなってしまう事でモールドの角が丸まる、溝、顔などの造形が埋まってしまう状態。
身に覚えがあれば改善したい.
【ベタ塗り2】
少し透けてしまうくらいのカラーの薄め具合でちゃんと乾燥してから2〜3回塗り重ねる事でムラの無い面が塗れるようしたい。
濃度だけは文面で表現できないので練習して体得して欲しい。
初歩ではあるが後述するが隠蔽力や下地の色など問題なども影響してくるので奥深い.
【ハミ出し】
勘違いしがちなのがハミ出してはいけないのではなく「完成した時ハミ出してない」なら良い。
製作中はむしろハミ出せ!
全体にハミ出すドライブラシや、ハミ出してしまいがちな奥まった場所から先に塗り始めるなどのノウハウを身に付けたい。
【発色】
カラーの隠蔽力(下地を隠す力)がそれぞれ違い、
隠蔽力が強い色はイキナリ塗っても綺麗に発色するが弱い色は透けてしまうのは誰しも覚えがあるだろう。
隠蔽力が弱い色は黒の上に塗る前に同系色のベースカラーや白を先に塗ったり、アンダーコートを白にするなどの工夫が要る.
1−4まとめ
綺麗にムラ無くハミ出さず塗れる基礎を身に付けていないと技巧を凝らしても意味がないと言う卵帝さんの意見は至言だと思います。
それらを踏まえる事が脱初心者への道だと思いますので塗っててシックリこない方は
本家ペイント大全と合わせて振り返ってみてはいかがでしょう.
【グラデーション1】
ミニチュアは縮尺が小さく実物のような陰影が入らないので実物なら本来入るべき陰影をペイントで表現して立体感、質感を出します。
これをグラデーションと言います。
国産模型では高度な技ですがミニチュア界ではセオリーなので是非とも身に付けたいところです。.
【グラデーション2】
1色を本来の色(ベース)、影になる暗い部分(シェイド)、
光が当たる明るい部分(ハイライト)の3色で塗り分けて行きます。
しかしミニチュアは実物とも絵とも違い光が当たる方向を特定できないので「窪んだ所は暗く、高い所フチは明るく」が大原則になります.
【グラデーション3】
ベース、シェイド、ハイライトの配色はペイント大全に範例があります。
またホワイトドワーフの作例をマネしたり、自分で試してレシピを編み出す事で知識を蓄えましょう。
ミニチュアペイントはかなりの部分を知識で補えるので進んで学ぶ事が地力になって行きます.
【グラデーション4】
グラデーションは暗い色を塗り残しながら明るい色へと塗り進める方法、
ベースの色に(カラーの)シェイドを塗る事で溝を暗くする方法、白地から明るい色、
塗り残しながら暗い色を塗り進める方法などありますが結果的に諧調が出来ればどんな方法でも構いません.
【グラデーション5】
グラデーションは諧調を増やす、境目を消すなどの技法でより美しくなりますが追々の話なので軽く覚える程度で。
またペイント大全ではベース、レイヤー、シェイド、レイヤー、ドライ、グレイズとする事を提唱してます。
カラーの性能、メソッドに頼るのも大事です.
10 【グラデーション6】
棒や球やドーム状のパーツはどう言う陰影が入るのか?
この場合は作例を参考にしたり自分の考えで塗りましょう。そうした疑問に当たった時、
またどの色も3色ずつグラデーションで塗り分けて完成させられるようになった時にあなたは既に初心者では無いでしょう..
5−10【グラデーションまとめ】
ゲーム用に大量に塗りたいと言う方などには必須では無いですが、
丁寧で美しいペイントのアーミーが並ぶ様もウォーハンマーの醍醐味だと思います。
ですが言外のセオリーは独学で難しい事もあるかと思いしたためました。本家ペイント大全と併せてどうぞ.
11 【書き込み1】
顔、バナー、チャプターアイコンなど細かい部分の書き込みの話。
太い線で塗りつぶして心折れた経験がある方もいるのではないでしょうか?
ですがいくつかの要素を押さえれば成功しやすくなります。要素とはカラーの濃度、筆の尖り、筆のカラーの含み具合、筆運びです..
12 【書き込み2】
狙い通りに細かい部分に筆がタッチできてもカラーの濃度が濃すぎるとカラーが乾いて色が乗らず、
薄すぎるとタッチできても下が透けてしまいます。乾燥せず一筆分タッチして色が乗る濃さを身に付けましょう。
精密作業の時は一筆毎にカラーの水分を調節するつもりで.
13 【書き込み3】
筆の尖り具合はカラーを筆に付けて不要なカラーを落とす時に捻りながら引き上げると尖り具合を維持できます。
尖り具合も濃度同様一筆毎に調整するつもりで。
筆自体はシタデルなど天然が良いですが化繊でも下ろしたてから10体程塗ったら寿命だと割り切れば良いです.
14 【書き込み4】
カラーの含みは多すぎるとタッチした時にダボッとカラーが乗って塗り潰してしまい、
少なすぎると乾いてしまうので重要。
筆の先2〜3mm程度含むようして1タッチで綺麗に乗る含みを調整しましょう。
筆の根元部分だけキッチンペーパーなどで水分を取るのも有効です.
15 【書き込み5】
筆運びは普段と違い書道に似てます。ミニチュアを色んな角度に持ち替え常に上から下への運び、
ハライや点を使えば細い線や文字も意外と書けます。
筆の先の三角を活かして白目を書いたりも。マークを書く時は周りの色で修正をして角を出すなど計画立てて塗ります.
11−15【書き込みまとめ】
一筆入魂で一筆ごとにカラー、筆のコンディションを最良に持っていく、筆に出来る事、しづらい事を把握するのがコツです。
逆に筆で大変なのが蛇行した連続曲線は大変でした。 この辺りになってくると実演、参考画像が欲しいので追々追加したいと思います.
15補足
以前のツイートの再掲載になりますが我流ながらチャプターマークの描き方です。 
マークの書き込みだけでなく周囲の色で削る事でエッジを出すのが伝わると良いのですが。
16 【濃度−上級編】
ムラ無くベタ塗り出来た時の濃さを不透明度100とするなら80でも50でもパレットが透ける程に薄めます。
このシャバシャバの濃度がグレイジング、ウォッシング、ブレンディングの要になり、この3つの技法は用方が違うだけで同様の技法です。
以後解説します。.
17 【グレイジング】
前述の薄さで塗る事で下地の色の上に半透明のカラーの層を掛ける技法がグレイジングです。
腐食、焼き付き、明るすぎた色味を暗くする、グラデーションのメリハリを減らし滑らかにするなど多用な使い道があります。
溝に明るい色が流れるとみっともなくなるので注意.
18 【ウォッシング】
前述の薄さでミニチュア全体に洗い掛けるようにカラーを塗るのがウォッシングです。
旧シタデルウォッシュで馴染みがある方も多いですが用途はグレイジング+シェイディングを同時にする、
水分のムラを生かして油、泥などの水性の汚れを現す2つの用途があります。.
19 【ブレンディング】
前述の薄さでグラデーションを塗り、
すぐに境目を水だけ含んだ筆で擦る事で筆目をボカし滑らかなグラデーションを作る技法がブレンディングです。
ボカすのが遅れると一筆目の輪郭が先に乾燥して内側だけ色が消え、鍋のフチみたいになってしまうので急ぐように。.
20 【ブレンディング2】
昔の記述では水を含んだ筆で擦るとあるが筆一本で筆先を返す事でボカす手法もあるので、
筆の持ち方などと併せて各人のやり方を工夫しよう。
またシタデルメディウムは水で溶くよりも乾燥が遅く色の粒子が水より均一に散らばるように感じる。やり易い方でどうぞ.
16−20【濃度−上級編まとめ】
カラーを薄くする事でグラデーションは滑らかになり、
失敗した箇所も水の筆で擦る事で乾く前に修正できたり、モールドが埋まりづらかったりと良い事が多い気がします。
最初は薄めたカラーの粒子が散らばってしまいやり辛いですが練習してみて下さい。.
21 【ライニング1】
ミニチュアのミゾやパーツとの境目にシェイディングより濃い色で溝を引くのがライニングです。
国内の模型技法で言うスミ入れと同じ事だと考えると重要性が伝わるかと思います。
使う色も白地には灰色、赤には焦げ茶とスミ入れのセオリーが適用できる部分も多いです.
22 【ライニング2】
剣を握った手と鍔の境目は黒でライニングして別の物である事を強調したり、
装甲のモールドは溝が目立ち過ぎないよう同系色にしたり、
隣接した色の境目に双方を混ぜた色で馴染ませる事もあれば反対色を使って強調したりと色味との併用で奥深い効果がある技法です。.
23 【色相環】
ペイント大全に載っている円状に並んだ色の図が色相環です。
隣接した色は自然な変化、図の真向かいにある色は「補色(反対色)」と言いアクセントのある組み合わせになります。
美術の授業のようですがここまで来た貴方なら色の組み合わせを考える時に非常に役立ちます。.
24 【配色】
ここまでは手の動き「フィジカル」でしたが最後は論理「ロジック」です。
作例をそのまま真似する時以外は貴方はミニチュアをどの色で塗るか選択します。
その時に役立つのが色相環やカラーデザインの知識です。色を知識として学び、塗る前にプランニングする事も必要です。.
25 【おわりに】
急に色相環だのデザインだの美術の授業かと思う方もいるかと思いますが
工業デザインや美術の技術を使う事でミニチュアには説得力が増し、更にアートへの第一歩を踏み出します。
ヘヴィメタルチームの受け売りでしたがこれにて。皆様のペイントのお供になれれば幸いです.


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