Rmanさん結婚記念ミニチュアが出来るまで
Written by ムッチー


Rmanさんの結婚式にあたりサプライズでウェルカムミニチュアとも言うようなジオラマと言うかヴィネットを作成しました。
作品ページはこちら

正直結構頑張ったので(笑)製作記事に加えて、発想の順番、覚書、ペイントの注力した部分など
総合的なハウトゥ記事にもしようかと思いしたためました。


〜発想のキッカケとおおまかなデザインができるまで〜
はじまりはRmanさんの結婚の話も出た頃、自軍のカンパニーマスターでも作ろうかと思って譲ってもらった戦団の英雄のビッツを見て
「なんだか式典仕様っぽいなぁ」と思って「じゃあ結婚記念ミニチュアでRmanさんにしたら面白いかも…?」と思ったのがキッカケ。
「面白いかも、絶対ウケるわ」と思ったら予定とか予算とか手間とか技量は全部度外視してはじめるのが創作のコツだと思います。

そのミニチュアはコレ↑
顔、右手、左手が別パーツなので顔はRmanさんっぽく造って右手は剣でもいいし、ウェディングケーキ入刀とかもいいかも?
小物類はドールハウスとかで何とかなるんじゃないかと思いつつ結構この時点では大雑把です。
その時のイメージを絵にするとこんな感じ。
次にお嫁さんのミニチュア選定に入ります。そもそもウォーハンマー世界に少ない女性ミニチュアから更に元々の造形が良い事、
扮装とは言えドレス姿だったり使いやすいポーズだったりが良いかなぁと思いヴァンパイアの女ロードや
ブレトニアダムゼルなど考えましたが女ロードは使いづらいポーズか下がビキニアーマーだったりして「花嫁にコレはどうかと…」と言うデザインだったり、
ダムゼルは造形の古さやポーズ変更の効かなさを考慮したりして省いて、最終的に新しいモデルで造形も美しいハイエルフのアラリエルにしました

しばらくしたら発売からさほど経ってない商品なのにGWのダイレクト商品から落ちてたので危なかったですねぇ。

美女ミニチュアの代表として選出された輝けるアラリエル


注文してしばらくして到着、満足した所で問題が。
Rmanさんのミニチュアは右手を上げてるのにアラリエルも右手!
横に並ぶと同じ方向になってしまいなんだかチグハグに!
向かい合わせんどのこのポーズを活かした配置にするか、当初のイメージ通り内側同士の腕を上げるようポーズ変更をするか悩みます。
この辺りでジオラマ巧者のぷらシバさんにアイディアを伺い、このポーズでも使える案を幾つか頂いたのですが。
が、お嫁さん側のパーソナルに突っ込む情報が少なく、ジオラマでアテに出来る小物もなく、デザイン性高く情緒深いぷらシバさんデザインは自分の力量では活用しきれないと思い、
自分の持ってる技量では手間でもお嫁さんのポーズ変更して当初の案のまま二人のミニチュアを魅せてベースは最低限にするプランにしました。
またここでネックなのがRmanさんにするキャプテンの足がガレキを踏んでる点
40K世界ならありがちで済みますがバージンロードの上にガレキ?と思い、違和感がなくなるように
式場→崩れる→断崖→平野
と言うようなデザインにして半分以上ウォーハンマーのベデコ技法で出来るようデザインが決まりました。
格好良さそうなメッセージ性は必然性の後に生まれたんですね〜(笑)

こんな感じ。
細かい装飾を求めて色々駆けずり回る事になるのですがデザイン編は終わり。
デザインが決まらないとポーズ変更も決まらないので先に決める必要がありました。

〜ミニチュア製作、Rmanさん編〜
基本のミニチュアはそのまま使うし右手が剣にせよケーキナイフにせよなんとでもなるのでとりあえず顔を作ります。
希望はサイバネ無し、口はまっすぐ、丸顔だったのでるがそもそも今のマリーンはほとんどシュワちゃんみたいな長方形顔ばっかだったので諦めて自作する事にしました
顔立ちの改造もあれば、アニメキャラですがミニチュアサイズのスクラッチをした事があるので出来るだろうと言う目算です。
製作過程の写真を撮ってないのでザックリイラストで説明

手持ちで余ってたダークエンジェルベテラン付属の角刈り君を用意。
凸部が造形の邪魔にならないよう凹凸を削いで掘って元のモールドを削り込んで一回り小さくします。
残ったのは鼻筋と耳〜後頭部のメカ部分くらい。
基準にする為に鼻を作り、おでこを盛りました。が後におでこは失敗だった事が判明するので鼻だけにしましょう。
Rmanさんはいつもスマイルで写真に写ってるのが印象的なので笑顔にします。
なので目を作るのですが程好いサイズで目を作った後に、上マブタ、下マブタを余ったパテを寄せて目のラインを作ります。
なのでおでこ先造っちゃうと上マブタに寄せる肉がなくなっちゃうんですね。
グリーンは基本的に奥まった部分、奥の構造から作って完全乾燥してから次とやっていくと
造形してたら圧力で崩れちゃったと言うのがなくなります。
口を作りつつ40Kらしく笑いシワを深めに作ります。
乾燥したら最後に一番高い頬骨、アゴら辺を作っておおよそ完成。
髪は全体的に盛ってV字のモールド入れていくと完成です。
繰り返しますが奥まった部分からはじめて造形→乾燥を複数回繰り返していけばなんとかなりますし
逆に一遍にやろうとすると不要な部分に力を掛けてしまい失敗しがちです。
とは言え、集中しすぎて首のスジを傷めそうになりました(笑)
ペイント前の状態。結局顔以外はほとんど手を入れてませんね
で、完成状態からペイントの解説
黄色にするので白サフから塗装順としては足の間から見えるマント裏地が一番塗りづらくハミ出そうなのと、
黄色にハミ出したのを修正するのは大変だと思い、足の間のマント裏だけ先に塗ってからメインの黄色に。

〜黄色〜
Rmanさんのレシピを参考にイエローインクが必要との事なので圭さんに「お醤油貸してくださ〜い」と言うノリで借りて挑戦。
しかし辛い!
後に下地はイアンデンダークサン+ゴールデンイエローだと分かるのですが
自分は勘違いしてイアンデンダークサンだけの下地にしてしまったのですが
ゴールデンイエローが広い箇所では透ける!割に濃度が高くて凹モールドに溜まる!
ゴールデンイエローは色の粒子が均等にならず低い所に留まる辺り、ウォッシュ(旧)に似た性質なイメージです。
結局モールドが埋まるデメリットを取っても綺麗に発色するメリットを取り、透けた部分にカラーを溜めたら
ドライヤーで強制乾燥させて色の層を作りました。
埋まったモールドはシェイドとライニング、ハイライトをビシッと丁寧に入れる事でモールドが綺麗に見えるよう工夫しました。
ハイライトはまだちょっと弱く見えますね〜。メリハリ付けられないのは自分の悪いクセです。

赤、青は気張らず普通に。
剣は稲妻、発光表現っぽいNMMなども考えたのですがRmanさんや廣島会の面々が見るかと思い
一番インパクトがありそうなNMMにしました…が中間色がちょっと濃かったですね。
剣のNMMは実はパターンがシンプルなので光りのと暗さの波が2セットあって、隣接してる面ではわざとズラしてを両面やってるだけです。
膝のインペリアルフィストマークは最後の最後に入れました。発送する締め切り寸前のものすごい集中力だったので
ほぼ一発で修正も最低限で済んだので我ながら凄いと自画自賛しましたw
ペイント体然での心得は自分自身噛み締めたいと思います。

〜ライニング〜

今回丁寧にしたのはライニング。
モールドが埋まりがちな黄色の凹モールドに入れて角が立ってるように見せるせるのもですが
平面でのパネルラインや奥まった部分には同系色の暗い色(ゴールデンイエロー(旧)+モーンファングブラウン(新)でうっすらしたり
金や赤の部分には黒シェイド+ライノックスハイドなど焦げ茶系のスミを作ってモールドを強調する程度にして、

際立たせたい所には反対色、この場合黄色に対してなので青味を足して紺黒みたいな色でスミ入れしました。
これをすると切り離した感じや物の上に別の物が乗ってる感じに目が補ってくれます。
例えばパワーアーマーに巻かれた革のホルスターや、アーマーに乗ったマントや留め具、剣の柄を握ってる手との境目などはそうしてます。


これでRmanさんは完成。


〜ミニチュア製作、お嫁さん編〜
次にお嫁さんのアラリエルに着手します。イメージに合わせると上げてる腕を逆にしないといけないのですが
このアラリエル、右腕を上げてるだけでなく前進しながら振り上げてるので上半身が右前、
下半身は左前になって、更に上半身は右肩も上がってるので相当修正しないとなりません

なので胴体のこのラインで切って上半身を水平にしつつ左前くらいになるように接着しなおします。

こう
次にティアラの顔の横まであるのが顔を似せるのに邪魔なので飛ばします。
顔は少し目尻を下げたり、結んだ口を笑顔にするくらいなのでラクでした。
そしてポーズ変更の二の足を踏ませたのがスカート!
左手で摘んだデザインですが左手を上げるとなるとスカートの流れ通常に戻さないとならない!
でもやりますよ。ダークエンジェルの服着せるのと大差ないです。
腰に装飾が付いた紐があるのですがこれを作り直すのは手間なので飾りだけカッターでそっと削いだ後に
スカートをこのラインで1/3くらいバリボリ切りつつ、上からみて放射状になるようにグリーンを盛ってきます。
乾燥時間の短縮とラインの近さを得る為に余ったパーツを切り張りしつつ 以後造形がほぼ完成したのがこちら


〜ブーケ〜
左手のブーケは紙創りと言うメーカーがスケールモデル用などに紙をレーザーで切り抜いたり
モールド入れた物を扱っているのでそれの1/48用のバラを使いました。
ウォーハンマーは厳密なスケール表記は無く1/48が少し大きいくらいのサイズなのですが微妙なスケール感の差よりもイメージ先行で採用しました。
バラの花だけを10個ちょいくらい組んだ後、接着後も外せるセロテープでドームを作り
本物のブーケ画像を見ながら木工用ボンドでどの方向からでも花が綺麗に見えるよう接着。
シュークリームを固めたケーキのクロカンブッシュの要領です。花の隙間は葉っぱで隠しつつ完成。
見えづらいですが手は柄を持ちつつ半球状の塊に花のドームがくっついてます。
ブーケは生花括るタイプもありますが、活花挿しみたいに水溜めた半球のスポンジに切花刺すタイプもあるので これをミニチュアで実践したイメージ。
ブーケは半ドームから少し前に垂らすキャスケードブーケと言うのにしました。
商品のツルだけだといくらボンドで固めても紙で耐久性が低そうなのでコッソリ裏から0.5mm真鍮線を グリーンのドームからツタを這わせて接着してます。

〜スカート〜
切り飛ばしたファインキャストの欠片を適当に接着しつつフンワリ広がるようにグリーンを盛ります。
グリーンスタッフは練ってから乾かすまでの経過時間でやる事が変わってきます。
1時間:盛り付け、2時間:ザックリモールド、3〜4時間モールド細かく、4〜6時間:スパチュラで擦って表面処理。のようなイメージです。
ここではできるだけ綺麗に仕上げたいので表面処理に注力しました。
塗るとまだ凹凸は見えますがまぁ及第点でしょうか。

〜ヒール〜
足は元々アラリエルが飾りベースにくっついたミニチュアで自立しないのと裸足なのを解消するため
グリーンでハイヒールのパンプスを作ります。
地面との軸+強度アップのためにヒールの部分に0.5mm真鍮線を入れてます。

〜腕、杖〜
左手はスカートを摘んでて肘が縦にも横にも捻ってるので肩、肘、手首で真鍮線で接ぎ直してます。
ポーズ変更に際して振袖のような衣装はオミットしました。
腕の角度変えると布の流れを変えなきゃいけないので大変なのと
元のミニチュア知らないとある意味がないデザインなので手袋だけにしてドレス感を強調。
杖は重いだろうと言う事で左手まっすぐにしました。
杖のおしりがスカートと干渉するのを全く考えてなくて青ざめましたが運良く収まったので 塗装後はスカートと接着して強度アップも図れました。
杖が本来地面と垂直に近かったのに、水平よりになったのでリボンはグリーンで新造してます。
帯状に平たく伸ばしたグリーンスタッフで根元だけ絞ったようなシワのモールドを入れて1時間半〜2時間くらい待ったら
カッターで端をカットして杖に押し付けて重力に沿うよう垂らしてたなびくように癖を付けます。
グリーンは削っての造形はできないですが切り落として角を出すのは綺麗に出来るのでそれを活用します。

〜髪〜
ポニテ切り飛ばしてセミロングを足しただけなのでそんな書く事もありません。
顔の角度も少し変えてます。
ペイントから完成まで。
ペイントは目の書き込みに注力した以外は普通です。
これもRmanさんのチャプターマーク同様集中力マックスだったので肌のペイントの際に微妙に目のラインが可愛くなくなったとか
目頭の白がくすんで見えないとか0.1mm単位の修正を何度かしました。
パレットのカラーの傍に水滴をたらして置いてソレで水分の調整をすると良い感じです。
ちなみに筆は普通の書き込みだとラファエロの0/4、目の修正とか極細は0/6です。
普通の書き込みで0/6使うと毛足が短すぎて厳しいですが修正には向いてましたね。

ブーケは練習も無しですが良い色合いになったので良かったです。
新カラーだとピンクは多いんですが手持ちは旧ばかりだったのでウォーロックパープル、テンタクルピンク、白あたりで調整。
白バラはブリーチドボーン(現ウシャブティボーン)に加えてロッティングフレッシュ(旧)で緑味を足すと良い感じになりました。

ドレスは白地にしつつ、クールグレーの雰囲気+お嫁さんの好きな色と言う事もあり影を紫に振ってます。
よく言われて意識してるのですがホワイトのグラデは100%白の部分を広く取りつつ影のグラデを狭い面積で。
と教わったのでキッチリ実践してます。 カラーレシピはドーンアース(新)+リッチパープル(旧)に白で加減。
影を濃い目広めに塗った後、隠蔽力高い白でグレイジング気味に影の部分にもブレンディングで被せていっての色合いを白に戻していくイメージです。

意外と目を引く金色。まぁ普段の自分のレシピなんですが下地はティンビッツに似た自作ベースです。
黒、スコーチドブラウン、金、銀みたいに隠蔽力重視だけ考えたのを作りおきしてます。
その後はシャイニングゴールド(旧)→レイクランドフレッシュシェイド→(もう一度ゴールドしたりしなかったり)、ゴールド+ミスリルシルバーでハイライト。
シタデルのレシピですが金に肌色シェイドすると赤味が増して綺麗になるので愛用してます。
新カラーのシャイニングゴールド相当は色味が違ってイメージが変わると言う話も聞きますが個人的にはアーミーペインターの金が似てると思います。

〜ジオラマ、ディスプレイ製作〜
まずは下の土台のディスプレイから。
このサイズ、形が決まらないとミニチュアの配置もできないので選定だけは早い段階にしておきます。
製作過程がないのでまずは出来た物を見てください。


使ったのは模型屋やDIYショップなんかどこでもあるアガチス飾り台。ネットショップとかにもあります。
10cm四方の物を買うと実際の天の面積は8.5cm四方だったので適当な角材を買ってそのサイズに切ってもらいました。
これを木材を染めるニスみたいなので染めて、高い台部分と接着して品の良さそうなディスプレイを作りました。
海外のヒストリカル用品ではムクから削りだしたのとかあるんだけど2〜3000円くらいしてお高いので自作しますw
タイトル板は0.1mmプラ板をアーチ状に長〜く切った物をドライヤーでグネグネ曲げました。
熱しすぎて適度に歪んだのがいい味になったかなと思いますw
天板のサイズの8.5cm四方のプラ板を切り出して、教会部分は前述の崩れるシチュエーションと、ウォーハンマー的映えの為に
高くしようとコルク板5mmを2枚貼り合わせてます。 断面が岩っぽくなると言うのでベテランやスケールモデラーの方は良く使う素材です。
これは100均で買えました。
教会部分はスケールモデル用素材でレンガ敷きのモールドが入ったプラペーパーと言うのを入手して、コレが1/48くらいっぽいので採用しました。
フチには以前入手したおそらく1/48くらいのバラけたレンガを置くつもりだったのでプラペーパーのレンガの厚みが
バラレンガの厚みくらいになるよう1mmプラ板を挟んでます。

中央は坂になるようにエポパテを盛った後にGWのサンドを撒きました。

スッカリ忘れてるであろう当初プランの教会側のデコレートやウェディングケーキをドールハウス用品で飾るプランは
結局ピッタリの物が無いのでウォーハンマー的ベースデコレートに終始しました。
ドールハウスは基本が1/12らしくクォーターと言う1/48も無くはないのですが完成品も少なく希望に合うゴシックな用品は見つけられませんでした。
事前から調べたり、食玩の食料品サンプルなんかもチェックしてると合うのがあるのかもしれないので日頃のアンテナの低さに自分でガッカリ。
オーロラモデルさんも洞窟内と雑貨屋の道具は色々あるのですが、記念事のミニチュアに拷問器具とかは置けませんしねw
ミニチュアメーカー各位にはボス戦などに使うお城の中の装飾品シリーズを強く希望します!


と言う事である物で済ませなきゃいけないのでバージンロードは0.1mmプラ板を貼り、
レンガ敷きの端には前述のレンガを割ったり適度にランダムになるように木工用ボンドで置いてサフ。

ドライブラシで色を塗ったら手前は緑豊かにとグラスを植えつつ同様のスケールモデル屋さんで見つけた花になる素材を植えて完成!
バージンロードの赤は平たい部分にムラ無く塗るのがキツかったですw


〜完成!〜
詳しくは作品記事までどうぞ。
改造ポイントのみならず配色、道具の調達などなかなか成文化しない部分まで良い機会なのでしたためてみました!
改めてRmanさんご結婚おめでとうございます!


2014.6.13

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