ペイントイッポン(タイトルバナーはMagos氏デザイン)

イントロダクション
by 籾山庸爾(H27.12.31)

ペイント・イッポンは、「自分で好きなように塗ることができる」こと、
そして「同じものをペイントしても、絶対に同じにはならない」というホビーの特性を活かした楽しみ方だ。
そして、離れた場所に住む趣味人仲間と、ホビーを共有できる楽しみ方でもある。

今回、Rman君とペイント・イッポンをやる事になった折、「このペイント・イッポン、RoRでも紹介しませんか?」とのありがたいオファーを頂戴し、
僭越ながら記事を書かせていただくことになった。

RoRがこうして100万ヒット超を迎え、10年以上に渡って趣味人たちに愛されている理由のひとつに、多くの純粋な趣味人魂が躍動していることにあるだろう。
ギャラリーには想像力と創造力がひしめき合い、年輪を重ねた大木のように、趣味人たちの歴史と誇りが層をなしている。
この大いなるホビーの大樹は、これからも健やかに枝を伸ばし、青々とした葉をたたえ、次なる世代へと実を繋いでゆくだろう。
そのためにも、我々趣味人一人ひとりが、口ではなく手を動かすことの大切さを、身をもって証明し続ける事が重要だ。

RoRに自分もこうして参加し、皆さんとホビーを共有できることは、素晴らしい光栄である。
この場を与えてくれたRman君、そして管理人のムッチー氏に、ここで感謝を表明したい。
そしてぜひ、趣味人諸兄にも、ペイント・イッポンを楽しんでもらえたらと思う。


それでは、ヘヴィに楽しんでくれ!

ペイント・イッポンへのいざない

友よ。君はミニチュアが好きか?俺は大好きだ。集めるのも好きだ。作るのも、塗るのも好きだ。
そしてもちろん、自分が手塩をかけて仕上げたアーミーで仲間とのバトルを楽しむことも、俺にとって大切なホビーだ。
このホビーは、いわばビュッフェのようなものである。様々なメニューが並べられるなか、俺たち趣味人は、好きなものを好きなだけ楽しむことができるのだ。
野菜が好きな人、肉が好きな人、魚が好きな人。食べ物の好みが色々あるように、俺たちの愛してやまぬこのホビーもまた、人それぞれに好みがある。
それでいい。それがいい。
これはホビーだ。楽しみ方が偏ったからといってメタボリック・エンジェルになるわけではない。おおいに偏食すればよいのだ。


さて、ミニチュアの話をしよう。
ペイント済完成品やアクションフィギュア、多色成型のプラモデルやカラーレジンがこんなにも溢れかえっている現在に俺たちは生きている。
それらは数々の挑戦と技術の結晶であり、マッシヴな成功をおさめたホビージャンルでもある。
色を塗ることなく、イメージ通りのキャラクターやメカを手にすることができるのは素晴らしいことだし、それはそれで良いものである。

それでもなお、俺たちはなぜ、灰色のプラやレジン、あるいは昔ながらのメタルミニチュアに、こんなにも情熱を傾けるのであろうか? 

その答えの一つに、「自分で作れるから」「自分でペイントできるから」があるはずだ。
俺たちのミニチュア愛は、
「えっ、これ自分で塗らなきゃいけないの?」「え、組み立てめんどくさいよ。塗装済完成品ならいいのになあ」の対極に存在しているのかもしれない。
まったく同じミニチュアをペイントしても、そこにはペイントした趣味人の個性が、創造性がにじみ出るのだ。
俺たちは、けして均一化されることのない「自分」を、ミニチュアに投影しているのかもしれない。

ペイント・イッポン。それは、まったく同じミニチュアを、同じ期間中に、複数の趣味人でペイントするというものである。
こう書くと、まるで勝負のように思えるかもしれないが、ペイント・イッポンに勝敗はないし、つけるべきでもない。
では、何を得られるのか? それは、同じホビーチャレンジを趣味人仲間と共に味わい、楽しさを共有できるということだ。
それは良い思い出になるし、製作モチベの向上にもなる。
加えて、ペイント・イッポンを重ねると、自分でも信じられないスピードでペイントが上達することもつけ加えよう。
ただ漫然とペイントするのではなく、制限と期限がある中でのペイント経験は、君のペイントスキルを底上げしてくれる。

孤独なる研鑽が悪いわけではないが、切磋琢磨という言葉もある。
分かりやすく言えば「一人でやるより皆でやると楽しいし、むっちゃ上手くなるぜ!」ということだ。

最後に、ペイント・イッポンのレギュレーション(参加ルール)作り方を紹介しよう。 そして……楽しんでくれ!

ペイント:イッポン レギュレーション

1)参加者を募る
一人ではペイント・イッポンできない。まずは、共に楽しむ仲間を見つけよう。
2人いればペイント・イッポンは成立する。それ以上いても構わない。

2)題材を決め、製作期間を合意する
参加者皆で話し合い、どのミニチュアをペイントするか決めよう。時には、あらかじめ題材を決めてから参加者を募る、という手もある。
ペイント・イッポンは、いわゆる「塗り込み」になるので、ユニットやアーミーではなく、単体ミニチュアが向いている。
期限は、単体ミニチュアならば1ケ月を目安にするとよい。
1ケ月未満だと、他のホビーが止まったり、実生活とのバランスが保てなくなったりするので、長めの製作期間を設けよう。
せっかくのペイント・イッポンで塗り込みをするチャンスなのに、結局いつものスピードペイントではもったいない。
タキシードを着て牛丼を食いに行くようなものだ。じっくりとペイントを楽しめるだけの期間を取ろう。

3)製作時の「縛り」を話し合う
ペイント・イッポンの“難易度”がここで決まる。以下にいくつかの例を挙げるので、好きなように使ってくれ。
「縛り」が強く多いほど、ペイント・イッポンの“難易度”が上がってゆく。
いきなり挑戦的すぎることはやらず、まずはペイント・イッポンを楽しむところから始めるのがオススメだ。
なお、経験則として、ペイント・イッポン期間中は、製作中の写真を見せたり、あるいは配色について話したりしないほうが面白い。

『配色自由:改造不可・ベースデコレート自由』: スタンダードなレギュレーション。純粋にペイントだけで挑むペイント・イッポンだ。

以下オプション。
『キットバッシュ・改造必須』   : キットバッシュやパテによる改造を「必ず」しなければならないというもの。
『パッケージ作例配色不可』   : パッケージに使われている配色をそのまま使ってはいけない、というもの。
『デカール使用不可』       : デカール使用禁止! つまり、すべて筆で描き込め!

注意:ペイント・イッポンの結果として、なんらかの「称号」や「賞品」を参加者に供するのはオススメしない。
なぜなら、ペイント・イッポンがもたらす充実したホビー体験をぼやけさせるからだ。
どうしてもそうした物を用意したいのであれば、もらった側が心から嬉しくなるようなものにせよ。


(2015年12月)
お題目 エグザルテッド・デスブリンガー(旧名チャンピオン・オブ・コーン)
写真の著作権はGamesWorkshopのものです。
挑戦者:Rman 挑戦者:籾山庸爾

(2016年5月)
お題目 30周年記念インペリアル・スペースマリーン

Games Workshop ltd
挑戦者:22名の趣味人
この「ペイント・イッポン」という企画はRoRだけのイベントでも何でもなく、
序文にあるようにこのホビーを楽しむ多くの趣味人にとって興味深いチャレンジになると思います。
日本各地で自然発生的にこのホビーチャレンジが行われると熱いですね!
もしペイントイッポンに挑戦された趣味人がいらっしゃいましたら、ぜひとも挑戦者揃ってRoRに投稿してください。
その際はギャラリーへの掲載だけでなく、このページにもその挑戦の記録をさせていただきます!
では、楽しんでいきましょう! by Rman

トップに戻る    企画ページのトップに戻る