Written by Daniel
翻訳 by てらだ(さがりの会)

※広島会のダニエルさんが執筆したストーリーをさがりの会(福岡)のてらださんが翻訳&加筆してくださいました。
この場を借りてお礼申し上げます。素晴らしい翻訳本当にありがとうございました!それでは皆さん、てらださんによる翻訳文をぜひお楽しみ下さい。

〜プレリュード〜
 ジェニスS星系は、どんな調査員や帝国査定者が見ても帝国の中の数千の他星系の一つに過ぎない。それはソーラー宙域内の五惑星の内の2つ、ジェニスSU号星とジェニスSV号星、と呼ばれ住みよいところのようで、この2つのハイヴワールドは貿易と製造業で賑わっていた。

 比較的安全な宙域にも関わらず、惑星に不釣り合いなほど規模の大きなインペリアルガード『ハルコニアン151連隊』がここに駐屯して防衛していたためジェニスS星系はとても安全であり異種族からの襲撃を受けた事は皆無である。加えて700年間もの長期に渡り、内乱や暴動も無かった。
 
 そのような地味な存在であるため、ジェニスは帝国の人々の中でもほぼ忘れ去られ、無視されてきた。
 しかしながら、ここに来てジェニスSU号星は俄かにより深い好奇と調査の目に晒される事となる・・・


 ジェニスSUは幾つかの巨大な群居都市・ハイヴシティーを備えていた。モデスティーハイヴ、イーデンハイヴ、ファラディーズ沿岸ハイヴなどである。それらはジェニスSUの3つの主要な大陸の1つに集中して存在していた。ハイヴシティーは密集し混雑していたが、他の2つの無人の大陸に都市を建造しようとする者は現れた試しがない。

 ・・・いったいなぜ?

 一般には二大陸が不毛の土地で居住に適していないからだ、と考えられていた。約700年前のジェニスSU号星に起こった内戦で使用された大量虐殺兵器のために汚染されてしまった土地は都市建造には適していないのだ、と。

 しかし権力中枢にある者はジェニスの二大陸が何故に開発されないか、その真の理由を知っていた。そもそもジェニス・ハイヴワールドの特徴である貿易と製造業、そしてハイヴシティの存在自体が、テラの極秘計画の隠れ蓑だった。
 ジェニスは巨大な実験場だったのである。


 その極秘計画とは『リクラメーション(救済の儀式)』と呼ばれる物だった。
 リクラメーションとは帝国の中枢・テラの高位諸侯がティラニッド・ハイヴフリートがインペリウム領域内に侵攻を開始した時期にティラニッドの脅威に対抗するために計画されたものだった。惑星の生きとし生ける物全てを食らい尽くすおぞましき異種族に対して諸侯は恐れおののき警戒を強めていった。幸いな事に際だって巨大だった数個のティラニッド群生艦隊はスペースマリーン達との激闘の末、帝国から追い出されるか壊滅に追い込まれた。しかしながらそれには大きな犠牲が伴った・・・数多の惑星は生物が住めない死の星となり膨大な犠牲者達は永遠に戻る事はなかった。この損失は未だにインペリウムに大きな爪痕を残している。

 リクラメーション計画の中心人物、テックメイガスの1人であるアデプト・ビアド=ドゥアは生体再構築及び組成技術の権威だった。彼は火星の秘具庫奥深くで眠っていた謎の古代装置を発掘した。
 この古代文明が遺した装置は、命を紡ぐ物『ライフジェネレーター』と呼ばれていた。ビアドはこの装置の生体組成機能レベルが惑星規模に及ぶ強大な物であると確信していた。
 それはティラニッドとの戦いで受けた傷を癒す物。生命の失われた惑星を復活させる唯一無二の手段である。
 この装置の出自や操作方法の解明に、メイガス達は苦心した・・・おそらくこれは相当に古い種族、歴史の彼方に埋もれた古代種族が製造したものだろうと思われた。

 努力の末、ついにアデプト・ビアドがライフジェネレーターを起動させ、数日という短期間で荒れ地を1キロ四方の青々とした緑地に生まれ変わらせる事に成功した・・・!
 この結果を受け、リクラメーション計画はテラ諸卿の指示のもと、より大規模に行われる事となった。しかしながら、ビアドは不幸にも装置の起動成功と同時に歓迎しかねる者達の注意をも引きつけてしまったのだった・・・

 その不幸はアルファリージョンとして恐れられる反逆者達・ケイオススペースマリーンの登場として形を成した。彼らの工作員はリクラメーション計画が始動した時からジェニスSU号星に潜伏していた。彼らの作戦はイーデンハイヴ宇宙港で極秘の内にインペリアルガードの高官達になりすまし、入れ替わる事から始まった。
 ジェニスSU号星に巣くうアルファリージョンのリーダー、殺戮卿ことケイオスロード・ジューダス・ザ・アークスレイヤーの真の目的は不明瞭だったがその行動は大胆さを増していった。

 ジェニスU号星政府の執政官は、任務内容の説明も無しに突然数個のインペリアルガード連隊をビアドがコントロールする謎の装置を包囲する任務に当てた。
 ところがビアドの研究所を包囲していた隊員は、正体不明の相手から奇襲を受ける事になる。
 兵士達は、何の目的で自分達がここに来たのか・・・何でこのような未知の激しい暴力に晒されなければならないのか・・・その答えを全く知らないままに襲撃され、そして完全に姿を消してしまった。

 惑星統治政府は120人もの隊員の損失の理由を全く説明できなかった。これは苛烈な性格で知られるロードコミッサー・ハインリッヒ=クラウザー卿の注意を喚起した。彼は自らジェニスSU号星の調査任務に乗り出していた。

 帝国領土で最も激しい戦場を駆け抜けてきた歴戦の強者であるクラウザーはジェニスU号星の調査を隠居前に軽くこなす程度の最後の仕事として考えていたが、調査する内に複数の部署からの不正や苦しい言い逃れを多数発見してその根の深さに驚いた。彼は鬼のような仕事ぶりを発揮し、スパイ達を捕らえ拷問し処刑したがクラウザーはハルコニアン151連隊の上層部にまで浸透していると思われる汚染の根源を見つけるには至らなかった。

 ところが執政官に状況説明を受けている最中に、彼がアデプト・ビアドの研究所を包囲させた理由と何故兵士が襲撃されたかの理由を説明できず言い淀んだのを見て、元々彼を疑わしく思っていたクラウザーは捜し求めていた裏切り者が彼奴だと直感した。

 クラウザーは彼のロードコミッサーという地位と英雄の威厳を存分に駆使して執政官との個別会見を設ける事に成功した。
 執政官と対面し、2人だけになったのを確認するとクラウザーは突然腰のボルトピストルを抜き一発の銃弾を放った。ピストルから放たれたボルト弾は執政官の頭を精確に撃ち抜いていた・・・
 後の調査で判明した事だが執政官の体には濃緑色のヒドラという図柄の奇妙なタトゥーが刻まれていた。35年前のアルゴロスW防衛戦でロスト&ダムド共〜忌々しき反乱軍共〜との戦いにおいて、彼らの死体にも同じタトゥーがあったのを老コミッサーは覚えていた。緑のヒドラはアルファリージョンのマーク。反乱の背後ではアルファリージョンが暗躍していたのだった。

 ケイオス信者達の権力中枢への浸透を知ったクラウザーは彼らに対抗するためにロードコミッサーとしての権限を行使、戒厳令をしき強引に自らの手にジェニスSU号星の兵権を握った。
 彼は指揮権を持つオフィサー達全てを調査した。そして彼らから大量のタトゥーされたヒドラを発見したのだった。彼は徹底した拷問の後で彼らを処刑した。
 結果としてハルコニアン151連隊のほとんどがクラウザーを支持した。彼の行動は一見虐殺にも見えたが、その真意は120人の同胞の消失を懸命に調査するが故の行動であり、彼への信頼は疑う余地の無い物だったからだ。

 しかし現場から離れたインペリウムの中枢では、ジェニスSU執政官の処刑が行われた強引な経緯に疑念が感じられるためクラウザー本人にも査問をかけるべきという意見が強かった。
 そこで皇帝直属の精鋭部隊スペースマリーン達の中からインペリアルフィストチャプター所属、キャプテン・パウロ=サンドロスの中隊が派遣される事になった。彼らはこの混乱の内情を根底から解明するべくジェニスSU号星へと向かう。
 彼らの任務はクラウザー本人が反逆者と化して惑星を支配するのを防ぎつつ、神秘のアーティファクトを捜索してその確保を試みる事だった。


 ・・・しかしながら、どれほどの大きさを持つ勢力がケイオス信者だった執政官の思惑を察知し兵士を消し去ったのだろう。

 この件にはケイオスと敵対する勢力としてエルダーが一枚噛んでいるに違いない。
 そう、もはやこの段階において、アルファリージョンだけがライフジェネレーターを狙って暗躍していると言い切れる者は誰もいない。

 エルダー以外の可能性を考えるとデーモンの存在が考えられる。ライフジェネレーターの力を確保する事でケイオスロード・ジューダスは高位のデーモンの支配から脱して逆に支配しようとしているのではないだろうか。確かにアルファリージョンは長きに渡って真の主であるデーモンに仕える事を拒んでいる事で知られている。執政官の行動は、アルファリージョンとデーモン、どちらが本件のイニシアチブを取るかという内部抗争の確執が生んだトラブルの可能性もある。


 更に厄介な事だが、リクラメーション計画発動のきっかけを作ったティラニッド達が本件に絡んでいないとは言い切れない。
 ジェニスU号星と、これに一番近い有名なハイヴフリートとでは想像を絶するほどの距離を隔てているのだが、過去に遭遇経験の無い群生艦隊がジェニスU号星に向けて侵攻を開始しているようだ。
 銀河を食らい尽くすハイヴマインドの下僕もまた、ライフジェネレーターの力に引きつけられているのだろう・・・

 アデプト・ビアド=ドゥアがライフジェネレーターと共に姿を消してから、この事態は俄かに戦乱の様相を呈してきた。この戦いはジェニスSU号星を舞台に急速に激しさを増していく事だろう。

 果たしてどの勢力が勝利しジェニスSU号星を支配するのか、
そして誰が最初にビアドと奇跡の装置ライフジェネレーターを発見するのだろうか・・・?

戻る