偽典ウォーハンマー40,000
〜人の章〜
Written by ムッチー


はじめに
ウォーハンマー40,000は模型、ゲームに加えて骨太のダークな世界観にも大きな魅力があると考えています。
自分が始めた4版、5版時代には、ゲームズワークショップ・ジャパン公式サイトでも各アーミーの情報や背景設定がダウンロードできて
世界観からもウォーハンマーにのめり込んでいった物です。
しかし以前に無料で日本語版がダウンロードできたコデックス(個別ルールブック)は英語版を販売する形式になり、(7版中盤までは日本語版があります)
公式ホームページでの日本語サポートの縮小(2014/12月現在)など言語の問題などがある昨今、
新規に始めた人が物語を味わえないのではないかと気になっていました。
実際に会える趣味人には語って聞かせる事も出来ますが、ネット上ではそうも行きません。
そこでストーリー部分のフォローをする記事を作ろうと思い立ちました。
ですが当然公式の和訳を写す訳には行かないので、自分が噛み砕いた形で綴って行く形にします。
資料は確認にするにしても自分を通す事で微妙な勘違い、見解の差など本来の物とは違う物になるでしょう。

なので、「偽典ウォーハンマー40000」と題する事にしました。
偽典とは本来「教会が認めなかった書物」を意味する言葉です。
ザックリ解説した分かるようで正しくない口伝としての40000年の未来の話。
情報が正しく伝わらない辺りどうにもウォーハンマーめいてるとは思いませんか(笑)
なので、いずれ現れるであろうまだ見ぬ初心の友やゲームに夢中でロクに物語を読まない人などの興味のきっかけになれば幸いです。
免責事項
以下に掲載する文章、イラスト、作品画像は完全に非公式であり、
ゲームズワークショップ社によって承認されたものではありません。


その前に
ウォーハンマー40,000とはゲームズワークショップ社が発売しているミニチュアゲームです。 
ミニチュアゲームの解説はこちら→RoRイントロダクション
ゲームズワークショップ社では
・剣と魔法の世界「ウォーハンマー(通称ファンタジーバトル)」
・ダークなSFの世界「ウォーハンマー40,000(フォーティーケー)」
・小説や映画でおなじみ「ロード・オブ・ザ・リング-ホビット」
と言う3つのシステムをリリースしています。
どれもミニチュアゲームと言う点では似た雰囲気ですが別のゲームで、今回はウォーハンマー40,000が題材です。
ウォーハンマーはいずれの機会に、ロード・オブ・ザ・リング〜ホビットは小説、映画をご参考ください。
それでははじまりはじまり


人類の歴史、40,000年の未来
皇帝の登場、帝国の黎明
ウォーハンマー40000の歴史は過去と未来に渡り深淵で広大ですが世界観を知るにはやはり人類の歴史を辿るのが分かりやすいでしょう。
なぜならばウォーハンマープレイヤーはおおよそ人類が主だと思われますからね。
昔話のように未来の話を致しましょう。
みら〜い、未来、どれぐらいかと言うと今より3万年弱の未来。文明は栄えに栄えて宇宙にまで人類は進出するも、
人類は没落し文明も途絶した栄枯盛衰の後の地球。
そんな地球に一人の男が現れます。武力、超能力、カリスマと、どれも飛び抜けたその男は混迷の地球をあっと言う間に統一しました。
氏素性も分からないその男は人類の一大版図を築く「帝国(インペリウム)」を興した為に、「皇帝」とだけ呼ばれました。
皇帝は宇宙に散り散りになった人類をまとめ上げる為の旅に出るべく
腹心として自分の遺伝子から20人の超人将軍「総主長(プライマーク)」を作りました。

ですがそれを良く思わなかった異次元に住む渾沌の邪神達は生まれたばかりの総主長を銀河の様々な場所へと飛ばしてしまいます。
早々につまづいた皇帝は次に総主長の遺伝子を埋め込んだ超人兵士スペースマリーンを作り率いて遠征に繰り出します。
かくして皇帝の遠征は人類を束ねるだけでなく総主長を探す旅にもなりました。
これを大征戦(グレイトクルセイド)と呼びます。



在りし日の皇帝の肖像(想像図)
Portrait of The emperor

ホルスの大逆
大征戦の旅路で、逞しく育った総主長たちと運命的に再開しつつ皇帝は銀河に散った人類を束ねて行きました。
異種族との闘い、英知を失った星への説得、時に敵対する原住民の鎮圧、無知蒙昧な民へ志を伝え帝国への併合の説得。
数多の苦難を乗り越え人類の統一を目前に控え、人類史上最大の栄華を誇らんと言う時に、
皇帝がもっとも頼りにしてた総主長のホルスが人類を裏切ります。
大いなる秩序をよく思わぬ邪神が、ホルスはじめ総主長の何人かを悪の言葉でそそのかしたのです。
そしてホルスの大逆と呼ばれる人類を二分する大内乱が起こります。
最終的に叛逆軍は帝国本拠地である地球に肉薄して、ホルスは皇帝一騎打ちを挑み、その結果は相打ちとなりました。
ホルスは皇帝の一撃でその身体も魂も粉砕され内乱は収まりましたが、
皇帝も大きな傷を負い肉体は生命維持装置「黄金の玉座」から離れられなくなってしまいます。
皇帝の肉体は死につつありながら魂は留まり強力な超能力の思念で銀河中を覆い人類を見守ってくれています。

人類のその後
とは言え、皇帝は生身の身体を失い、その声を聞く事が出来なくなった事で銀河統一の夢は破れました。
皇帝は生きたカリスマから偶像になり、大いなる意志は曲解され過度に厳格な宗教になりました。
膨れ上がった人類を纏める統治機構も、権力争いに溺れて腐敗していきました。
科学技術も知識は失われ、自動生産機械が作り出す兵器を迷信混じりで動かす程度まで退化しました。
人類の繁栄は途絶え、緩やかな衰退の道を辿ることになりました。

ですが悲観をしている暇はありません。
反乱は治まったものの叛逆者はまだ存命で規模を増しており、邪神の魔手は常に人類を狙っています。
また広大な銀河には多数の異種族が居ます。

機械の身体の古代種族ネクロン、
狡猾な知恵と高度な技術を持つエルダー、
凶暴な宇宙の蛮族オルク、
無差別に生物を食らいつくす害獣ティラニッド、
領土を侵す新興国家タウ・エンパイア。

人類を幾度も窮地に追いやった脅威と常に戦い続ける生存闘争を続けて早1万年。
今は西暦40000年の遠い未来。これがウォーハンマー40000の世界です。
「暗黒の遠未来、唯一残った物、それは戦争」と言う公式のコピーにすべてが凝縮されてます。

どの種族も生存の為、アイデンティティの為に
飽くなき戦争を続けています。
人類の瀬戸際を守る防人になるも良し、欲望のまま力を奮うも良し、信ずる正義や教義の為に闘うのも良し。
あなたはその渦中の一人となり暗黒の遠未来に生きて、そして死ぬ事でしょう。





人類の戦力
人類は衰退しの最中にあるとは言え、その規模は極めて膨大です。
また、前述のように組織も肥大化して右手のしてる事を左手が知らないような状況ですので、人類の軍隊も様々な戦力が存在します。
正式名称では無いですがここでは便宜上スペースマリーン系、インペリアルガード系、その他帝国系に分けて説明します。

スペースマリーン

伝統ある戦団「インペリアルフィスト」のスペースマリーンたち

神なる皇帝から作られた総主長(プライマーク)の遺伝子を移植して改造された超人兵士の軍団がスペースマリーンです。
超人と言うのは比喩ではなく身長2m半の屈強な肉体と、どんな過酷な環境でも闘えるよう内臓器官までも進化した文字通り人間以上の身体を
色鮮やか頑強な装甲服パワーアーマーに包み、強力な火器ボルトガンを携え、最高品質の武具で戦う人類の救世主です。
しかし精鋭のスペースマリーンは広大な銀河に対してその人数はあまりに少なく
銀河に均等に配備するとマリーン1人が人類が住まう惑星100個を受け持ってやっとと言う程です。

30,000年の時代には20人の総主長の特質を色濃く受け継いだマリーン10000人ずつを有する個性豊かな20の兵団(レギオン)がありましたが
ホルスの大逆で権力、兵力を一か所に集中するのが危険だと判断され1000人ひと単位の戦団(チャプター)に分割されました。
分割、新設されても元になった総主長、最初の兵団の頃の形質は残っていたり同門間の関係性が良い事など多いです。
正確ではないながらも現在、銀河には1000の戦団があると言われています。
兵団時代の名前を受け継ぐ本家のような伝統深い所もあれば後に新設されたまだ見ぬ戦団もあるでしょう。

ゲームでは
なのであなたがスペースマリーンをするなら既に設定がある戦団を選んでも良いですし、
独自のカラーのアーマーを纏う、オリジナルの戦団を考えても良いでしょう。
ですが現在(2014年12月環境下)のスペースマリーンのコデックス(個別のルールブック)では
源流にあたる6つのチャプター別に特殊ルールがあるので
やりたいチャプターと戦法が噛み合わないなどの問題が無いようコデックスを先に良く読み、調べておくと良いかもしれません。
また、スペースマリーンの中でも一般的な規則、戦法に従わず独自の戦法、体質、モットーを持ち
イレギュラーな戦い方をする戦団はコデックスを個別にしています。
ダークエンジェル、ブラッドエンジェル、スペースウルフの3戦団の系譜がそれに当たります。
立場は同じスペースマリーンですが個性的なルール、特色を持っている代わりに、
普通のマリーンに配備されてる兵器が一部使用出来ない事もあるので気を付けてください。

マリーンは設定のように少数精鋭なので高ポイントです。
個々の性能の全てが標準以上でなんでもこなせる分、人数は少ないので手数で押される事もあります。

アストラ・ミリタルム(インペリアルガード)

惑星モルディアンを守るモルディアン・アイアンガードの小隊

超人のスペースマリーンに対して生身の肉体を鍛えた人類の軍隊が帝国防衛軍アストラ・ミリタルムです。
以前はインペリアルガードと呼ばれていましたが、先の改定で名前がアストラ・ミリタルムと名称が変わりました。
RoRやその他の検索、過去の文献で名前が出て来たら同一の物だと思ってください。
帝国防衛軍と名のつくように惑星を拠点に防衛する事が主な任務になるので惑星ごとに様々な連隊を有しています。

人類の版図は凄まじく広く、その分、人口も多いので兵士としての人員も膨大な物になります。
なのでアストラ・ミリタルム達の武器はまずその人数。倒れても屈しない程の圧倒的物量で敵に対峙します。
武装は貴重さ、携行できる筋力の関係などから最高級の武装を持つスペースマリーンよりは質が落ちる、
普及用の武器が多いものの銃弾の嵐で敵を蜂の巣にする事でしょう。
そして更なる武器が戦車などの重火力兵器が充実している事です。
戦上に大穴を空けるキャノン、歩兵を砕く榴弾、火炎放射器に戦闘機と豊富な兵器類により異種族にも十分戦える陣容となっています。
また強力な武装を備えたエリートだけの精鋭部隊、ミリタルム・テンペスタスを迎える事も可能です。

ゲームでは
強大な火力と大量の人員の手数で押し切るアーミーです。
超人のマリーンと比べて鍛えていても人間なので、個々の能力は弱く、接近戦が得意な的に近づかれると枯葉の様に散らされてしまいますが、
大量の攻撃と屍を乗り越えるのを前提とした人海戦術の強さ、モンスターも吹き飛ばす大火力の陣容は
どんな異種族を相手取っても戦えるポテンシャルを秘めています。

惑星ごとに様々な連隊がありドイツ軍のような折り目正しい軍服の連隊も居ればランボーのような密林ゲリラばかりの連隊も居て
イギリスの伝統的軍服のような連隊、中東の砂漠部族のような連隊など多種多様ですが
マリーンが設定の所属がゲームに反映されるのとは打って変わり、
ごく一部を除きどの連隊もデータ上では同じ物を使うので見た目や設定の趣味で選んで良いでしょう。

公式サイト、ウェブショップなどで様々な見た目の兵が混在しているのはそう言う理由です。
並居る歩兵の群れと無骨な戦車部隊は、現実のミリタリーファンも入りやすい魅力を持っています。

その他の帝国の軍勢
帝国には様々な機関、権力機構があり個々に軍勢を持っています。
帝国機構そのものの様にゲーム上でも細分化されていて単体で戦える物もあれば、協力を要請する形で自分の軍勢に引き入れる物もあります。
順を追って説明して行きます。
異端審問庁(インクィジション)
異端審問庁は悪魔も背信者も異種族も含めて、人類に害する勢力を取り除く武闘派の部署で、その軍勢がインクィジターです。
生身の人間でありながら、悪魔と戦う為に極上の装備や極めて厳格な戒律を頼りに、人類の敵を狩っていきますが
時に戒律を順守するあまりに無慈悲が過ぎ、救いきれない臣民を惑星ごと焼き尽くすなどの冷徹過ぎる処断を下す事もあります。
異端審問官は本人のほか、狂信者、強力な守備力を持つ騎士、半サイボーグ化された侍従、銃器の扱いに特化した亜人種など
大きな長所を持つ兵を随伴して戦います。

グレイナイト


美しい白銀の鎧に身を包むグレイナイトのターミネーター

スペースマリーンの一員でありながら悪魔狩りに特化した謎の戦団がグレイナイトです。
マリーンを越える極上の装備でディーモンに効果的な攻撃を可能としています。
また全員が超能力者(サイカー)と言う特殊一面も持っています。
性質も所属も異端審問官に近く、無慈悲な正義を振るう白銀に輝く軍勢です。

ゲームでは
マリーンよりも更に高性能で高コストのアーミーです。マリーンの長所と短所を極端にした感じです。
悪魔(ディーモン)に対峙する時に有利な能力や更に特殊な装備を所持しています。


アデプタ・ソロリタス(シスター・オブ・バトル)

ボルトガンを携えパワーアーマーに身を包んだバトルシスターたち

皇帝を崇める帝国聖教会が持つ修道女だけの軍勢がアデプタ・ソロリタスです。
以前はシスター・オブ・バトルと呼ばれていましたが、先の改定でアデプタ・ソロリタスと名称が変わりました。
人類ではあるもののスペースマリーン同等の最高級の武具を持つ強力な軍勢です。
彼女達の主な役割は魔女狩り、人類の中の邪神に唆された者を狩りだす事ですが、時に悪魔や異種族と対峙する事もあります。

ゲームでは
設定のように、人類の能力値とマリーン同等の装備が売りです。一部特殊な車両や、伝説の聖人などを擁して雰囲気のあるアーミーです。
が、コデックスは電子書籍のみで、全てのミニチュアがメタルなのでコレクションは困難を極めるでしょう。
やる時は肚をくくって挑みましょう。

帝国暗殺局(オフィシオ・アサシノルム)

謎に満ちたアサシンの異様
帝国の公然の秘密である謎の部署、暗殺局から暗殺者を雇い入れる事ができます。
強力ですが別部署ですので、主兵力にはできません。

ゲームでは
7版では同盟と言うルールがあり一定ルール下の元で複数勢力のアーミーを組む事が可能なのですが
アサシン達はごく少数なので応援勢力でしか使えません。
ご確認の上でどうぞ。

インペリアル・ナイト
巨大ロボ、インペリアルナイトを駆る騎士の家系です。
帝国に使える家門、流浪の騎士など立場はそれぞれですが人類の強大な味方として力を貸してくれます。


ゲームでは
同盟として迎え入れる事もできますしインペリアルナイトだけでアーミーを組む事もできます。
そのサイズ感のようにすべての武器が強力なので強い味方となってくれるでしょう。
強すぎるのでローカルルールで台数制限がある場合もあります。気を付けてください。

以上が主だった帝国の戦力です。
実際にはその他にも火星が保有する超巨大ロボ、タイタンや帝国艦隊がなどありますが滅多に見れなかったり、
世界観を同一にする別のゲームでしか登場しない物もあるのでザックリ頭に入れておくだけで良いでしょう。




最後に
今回は人間視点での物語と戦力の紹介でしたがウォーハンマー40,000銀河は広さも広大ながら
歴史も深淵で、多種多様な種族が古代より居て様々な物語を織りなしています。戦争とはどちらにも正義、主義があるから戦争なのです。
なので、多様な面から物語を見れるよう、また初心の友がはじまりのアーミーを決める助けになればと別勢力の話もいずれしましょう。

あとネタバラシで無粋かもしれませんが皇帝想像図は映画コナン・ザ・グレートのパロディです。

流石の皇帝は公式イラストも色々あるのですが多くがマッチョでウェーブの総髪なので似てるなぁと前々から思っていたので(笑)
改めて考えると現人神と月桂冠の構図からキリストのイメージかもしれませんけれども。
とりあえずはこれにて。



2014.12.23

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