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気位と美意識。 自らの欲求に対して前向きなキャラクターというものが昔から好きで、しかもそいつが何らかの意味での「美」を希求していればもう最高です。 美しさを求める心こそが知的生命の最後に行き着く欲求であると、まぁそんなふうに考えたりしていたわけですな。 ゆえに、全アーミー中最も高い美意識を持つダークエルダーが当方の目にとまるのは必然であったと言えましょう。 真に美しいものというのは大抵不健全だったり、非道徳的だったり、反社会的だったりするものなのです!(真顔) 以下、設定語りをつらつらと。 |
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「あぁ、そんなに烈しく見つめないでくれたまえ。君の瞳に恋をしてしまいそうだ」 オルクの大族長と血みどろの一騎打ちを演じつつ ヴァトハール・カダグロの肖像 カバル〈網膜の恍惚(ニンフォレプシー・オヴ・レティナ)〉のアーコン。末期的な眼球フェチ。元々は方舟(クラフトワールド)で生を享けた生粋のエルダー。 少年期に初恋の相手の眼球を抉り取って以来、自らの変態性癖を自覚し、全肯定する。以来、各所で凶行を繰り返し、 遂には「無限回路(インフィニティ・サーキット)に還る資格なし」と見なされ、方舟(クラフトワールド)を追放される。 網辻を彷徨い歩いた末に辿り着いたコモラフにて新たな人生をスタート。いくら眼球を抉っても怒られない社会的地位を得るべく精進を重ね、苦節千七百年、アーコンとなる。 とはいえ、嘘がヘタクソですぐ他人を信じてしまう牧歌的な性格ゆえに、向けられるのは珍獣を見るような眼差しばかりである。ただ、戦闘技能自体は腐ってもアーコン級。 いかなる相手に対しても、親しみの込もった紳士的な口調で語りかける。主だった文明種族の言語に精通しており、オルクやネクロン相手ですら問題なくコミュニケーションが取れる。 義理人情に篤く、涙もろく、約束は必ず守る。その間の抜けた言動は相手の警戒心を著しく削ぐであろう。別に相手を騙す演技でもなく、本心からの態度である。 異種族に対する侮蔑や偏見とは無縁の、とかく人を好きになりやすい性格。そして好きな相手の眼球はすごく抉りたい。目の前の眼球を、素手で一瞬にして抉りとる技能を身に着けている。 彼と長く友人であり続けるには、かなりの回避スキルが必須である。とはいえ眼球を傷つけることを恐れ、戦籠手をつけているときは決してこの技を使わない。 〈恐怖の眼(アイ・オヴ・テラー)〉を「この銀河で最も壮大なる至高の芸術」として畏怖にも近い憧憬のまなざしを向けており、 最高のロケーションで〈恐怖の眼(アイ・オヴ・テラー)〉を鑑賞できるケイディアへの進出を目論んでいる。 とはいえ、惑星防衛軍やマリーンたちが四六時中神経を尖らせているかの惑星に別荘を構えられるわけもなく、今のところは指をくわえながら見ているだけである。 |
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陰謀団(カバル)〈網膜の恍惚(ニンフォレプシー・オヴ・レティナ)〉 仄暗き都コモラフの片隅にて、ヴァトハール・カダグロが同好の士を集めて立ち上げた陰謀団。 それなりに歴史は長いのだが、肝心のアーコンが浮世離れしたボンクラなので、どうにも大勢力とは言えない規模である。 それでも〈網膜の恍惚(ニンフォレプシー・オヴ・レティナ)〉が今日まで生き残ってこられたのは、 彼らの創造するアートの洗練と退廃ぶりがコモラフ社会においてある種のブランド力を持つに至っているからであり、文化的な側面においては多大な影響力を広げている。 彼らが傾倒する「美」とは、すなわち眼球である。 「大半の知性体は、状況認識の八割を視覚に頼っているそうだ。すなわち彼らの経験する人生の八割は、眼球に宿っているとも言える。 だから、あれほど複雑な構造を秘めている。だからこそ、あんなにも玄妙な色を湛えているのだ」 エルダー、人類、オルク、タウなど、ありとあらゆる種族の眼球を抉り抜き、虹彩の色、水晶体の透明度、網膜の襞などを審美しては、黒く熱い溜息を漏らしてコレクションに加えるのだ。 コモラフ中の眼球嗜好家たちが集う博覧会においても、〈網膜の恍惚(ニンフォレプシー・オヴ・レティナ)〉のカバライトたちによる眼球アートは好奇と感嘆の視線を集めている。 |
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共有財産としての眼球 〈網膜の恍惚(ニンフォレプシー・オヴ・レティナ)〉は、入団者を募集していない。 ただでさえアーコンが騙されやすい性格なので、どこの馬の骨ともわからない輩を迎えるわけにはいかないのだ。 ではいかにして勢力を増やしているのかと言えば、大量に配備された人口羊膜チューブをフル稼働させているのである。 生まれ出た赤子たちは、まだ眼も開かないうちから眼球を抉り出され、真なる暗黒の中に投げ落とされる。 こうして集められた眼球は、カバルの共有財産として停止(ステイシス)フィールドに覆われた宝物庫で大切に保管される。 眼球を捧げた子供たちは、真なる暗黒の中で、カバルの奉仕奴隷として飼育されはじめる。 単なる盲目の小間使いにされることもあれば、四肢を切断された愛玩動物や、動いて悲鳴も上げるサンドバッグに貶められることもある。 いずれにせよ、誇りや知性や精神性などというものを徹底的に否定され、家畜としての生き方を強要されるのだ。 ほとんどの子供は虐待が高じて死んでしまうが、中には百年に渡る奉仕期間を耐え抜き、正式なカバライトとして認められる者もいる。 その者にはすぐさま眼球が返還され、奉仕期間中に受けた傷はすべて癒され、「家族」として迎え入れられるだろう。 そう、「家族」である。 |
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「ティラニッドの眼が無感情でつまらないだって? ふふ、君は幼く瑞々しい感性を持っているね。 千年に渡って無量の眼球を鑑賞していると、彼らのひたむきな純真さが、なにやらいじらしく思えてくるんだ。 タイラントガードの眼を見たことはあるかい? 甲殻の奥で恥ずかしげに息づく、澄み切った宝玉を。きっと彼らのフラットな生きざまが、その眼球をすがすがしく洗うんだよ」 〈網膜の恍惚(ニンフォレプシー・オヴ・レティナ)〉は、ヴァトハールを「父」として、擬似的な血縁関係を結んでいるのだ。上記の奇妙な通過儀礼(イニシエーション)は、カバライトたちの間で、 ある種の絆を芽生えさせるためのものである。生まれてこのかた視覚を奪われ、虐待され続けてきた者が、ある日期せずして光を得、祝福の言葉とともに温かな抱擁を受ける。 生まれて初めて見る外の世界と、生まれて初めて聞く愛の言葉は、彼らにとって衝撃的である。良しにつけ悪しきにつけ、カバルは無視しえぬ存在として精神に刻まれるであろう。 このため、普通のダークエルダーとはまるで異なる精神構造の者が陰謀団の中核を成すのだ。彼らは絆を奉ずる。彼らは仲間を見捨てない。彼らは「父」たるヴァトハールに親愛を抱く。 彼らは、「家族」である。 また、このとき返還される眼球は、新規入団者が最初にささげたものとは別人のものである。それが誰のものであるかはわからないが、とにかくカバライトの誰かのものであることだけは確かだ。 そして新規入団者の自前の眼球は、カバル内の別の誰かの眼窩に収まっていることであろう。 さらに、カバライト同士でも、忠誠や親愛や結束の証として頻繁に眼球を取り替え合う。このため、誰が誰の眼球を使っているのかはもはや誰にも把握できておらず、 ただ自らが家族(カバル)の一員であるという帰属意識をより強固にしてゆく。 ところで、眼球の交換手術はかなりテキトーであり、眼窩まわりの組織が滅茶苦茶なことになっている。 カバライトたちは全員、興奮すると眼窩が出血を起こし、盛大に血涙を流す。 「この銀河を、愛している。 星々のごとく無数の眼球が息づき、凶事も吉事もすべて受け止めながら、 それぞれの輝きを育んでいる、この偉大な宇宙を」 |
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